六度法|3つのルールできれいな字

2014.9.9 「芸術の字」と「実用の字」

IMG_0138.JPG



「芸術の字」
 左側は、NHKの大河ドラマ「龍馬伝」「平清盛」「八重の桜」のタイトル文字の骨格をボールペンで書いたものです。右側は「六度法」で書いた字です。
 タイトル文字のオリジナルは毛筆で書かれていて、何かを“表現”しようとしていることが見て取れます。「馬」は坂本龍馬が奔馬(ほんば)のように西国の諸藩を駆け巡る姿を、「平」は平清盛のエネルギッシュな人物像を、「八」は2画目は桜の花びらのようにはかない会津の若者の命を、おそらく表しているのでしょう。

 文字は素材
 そうした“表現”を可能にしているものは何かというと、字形のデフォルメ、そして、
点画の一つ一つです。それらは、墨がたっぷりのところとかすれたところ、線の太いところと細いところ、「はね」や「払い」の躍動感、「とめ」の静謐(せいひつ)な強さ等、それぞれがかけがえのない役を担っているかのようです。ここでの文字の役割は、伝達や記録のツールではなく、“表現”の素材を提供しているにすぎません。
 
 「実用の字」は整正字で
 一方、右側の「実用の字」は、ひたすら「整正」に徹し、明快な伝達や記録のみを目指しているかのようです。それは、点画を正しく用い、それぞれの長さ・方向・角度・交わり方・パーツの配置の善し悪し等を適正に書いています。

 「芸術の字」は美と感動を
 「芸術の字」は、書き取りテストならバツになりますが、「芸術の字」に書く側が託し、見る側が期待するものは「美」と「感動」であって、日常サイドの「きれいな字」ではありません。つまり、「芸術の字」と「実用の字」とは、まったく別ものだということです。

 「六度法」は「書字」技術
 「芸術の字」と「実用の字」とが別ものであるなら、それを獲得する方法も別に考えるのが当然のことでありましょう。
 「六度法」は「実用の字」を「整正字」にするための唯一で最良の技術です。実用の字を書くことは、字を書くというだけのことであって、「書道」と対比して名付けよというなら「書字」です。「六度法」は、書字行為に神秘めかすことなく、有難そうにするでなく、人間性を磨くというような高遠な使命を課すでなく、誰もが「きれいな字」を書くことを合理的に考え実現しただけです。時間・労力・費用まで考えるというのは、「書道」を精神の営みとする考え方からすれば、あまりにドライであるという見方もあるでしょうが、日常サイドでは産業革命を持ち出すのは大仰にすぎるとしても、いつの時代、どの分野でも行われてきたことです。「六度法」の3ルール、淡々とお使いください。